策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生25

「水精」 室内は水蒸気が充満していた。湿り気があり、暖かい。しばし立っていたが、服が皮膚に張り付き、呼吸もさらに重苦しくなった。 袁術は軽く咳払いした。 「孫校尉はついに戻ってくる気になったのかな?」 孫策は水中で身体を斜めにしていた。あるか…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生24

「白玉」 その侍者は孫策を袁術の屋敷に連れてきて、ある道を指し示した。 「校尉が長く寿春を不在にしていた間に、将軍府は尊い位に合わせて、また大きく土木工事をいたしました。もし案内するものがおりませんでしたら、途中で迷うことになるやもしれませ…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生23

「騏驥」駿馬 孫策は少し驚いた。 「なるほど彼か。太傅は……今はどうなのだ?」 孫権は目の光りがまた暗く沈んだ。 「おそらく良くないと思う」 馬日磾は袁術に無理やりに引き留められ、長年のつかえが病となっていた。冬になり、さらに一日と悪くなっている…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生22

「帰期」 孫権はこの頃酷く眠れない。他人の邪魔になるのもいやで、毎日寝台で灯りをつけ、真夜中まで読書していた。疲れて竹簡を抱いたままようやく眠ることもあった。 彼の精神は落ち着かず、今夜は本をいくらも読めなかった。木簡を寝台に広げて、一人で…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生21

「驟雨」 孫策の馬は西域の良種で、馬高が高く脚も長い。雪白のたてがみに露の珠のような光りを放ち、着地して葉を踏むときには音もなく、とても柔らかい。 彼は軽装で出かけた。馬は素速く、瞬く間に従うものたちの殆どを振り払った。遠くから見ても、人影…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生20

「盧江」 陸議は長いこと楼上に立ち続けていた。眼はぼんやりとしてちかちかとしてきた。彼はよろめき、額を城壁の女墻(凸凹)の上に近づけた。きつい陽射しから少しでも守られるように、わずかな冷たさを求めた。 痩せこけた手が彼の肩を抑えた。彼は振り向…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生19

「懐橘」 あるものが殿上にやってきて、袁術の耳元に小声で何事か囁いた。すぐに大喜びして満面笑顔になった。 「戻ったのか?」 報告した侍者が答えた。 「はい。すぐにいらっしゃいます」 陸康はその顔色を見て取り、我が子と甥と一緒に立ち上がり、袁術に…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生18

「奪節」*馬日磾の権威の印であった節(飾り房の着いた杖)を袁術が奪い、勝手に官職を決め始めた。 孫策は部屋の中で一人静かに座り、精神修養をしていた。 目の前には碁盤が置かれ、ほんのわずかな黒と白の石があり、その他は手許にあった。 時刻はもう早く…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生17

「秘議」 孫策は枕の上に伏せていた。寝台の側で水の音がした。誰かが絹布をお湯で絞り、肩から腰まで彼の背をゆっくりと拭いていた。一通り拭くと、またきれいな乾いた布で水分を拭き取っていた。 その手には薄いタコがあり、彼の背を揉んでいった。やり方…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生16

「主権」 孫策は寝台に凭れて座り、白綸子の中衣ははだけて、胸元が起伏する様が見えた。 彼の手はしっかりと帳を握り締め、手には青筋が立っていた。 袁術は寝台の足側に座り、その時を待ち、愛でていた。 彼の目線は孫策のこめかみのしたたる汗を見つめた…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生15

「夜談」 馬日磾は普通の儒学者ではない。 彼のような出身、そのような経歴、今いる立場、当然普通のものではない。 普通ではないゆえに、彼は煩瑣な儀式礼節にこだわらなかった。 使用人が言う。 「孫郎はもう休みました」 馬太傅は答える。 「知らせに行け…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生14

「金鈴」 翟とは雉のことである。 袁術の衣の上には鮮やかな雉の尾の紋様が刺繍されており、ほの暗い灯火の下でもきらきらと光っていた。 袁家は四世三公といえど、彼は一地方に割拠していても、ずっと人からは家族の恩恵でと見られることが多かった。今回の…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生13

「踏歌」 孫策は袁術に従い席につき、座ると俯いて何杯か酒を飲み、下がりますと告げた。 袁術はいくぶん酔っており、彼の手を取った。 「何をそんなに急ぐことがある?」 孫策は少し笑った。 「軍営を騒がせたものはすでに斬りましたが、それから処理しなけ…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生12

「太傅」 宮殿の灯りはキラキラと輝き、装飾は一新され、盛大な宴会が開かれ、卓上には美酒佳肴が並んだ。武将が片側に座り、文臣がもう一方に座った。主座と次席が空いていた。 袁術はまだ現れず、部下達はこもごも囁き、ぺちゃくちゃとおしゃべりしていた…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生11

「孫郎」 孫策は再び祖郎を討ち、完全勝利を収めた。祖郎本人は逃げたとは言え、長らく丹楊を騒がせていた山越の大半は平定され、呉景と孫賁は大いに安心した。袁術も大喜びした。 彼の書状が丹楊に送られ、皆の者に褒美が下され、また孫策は帰ってきて祝い…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生10

「美酒」 侍女達は博山炉を置き、帳を引いて、室内から下がっていった。 孫策は彼の寝台に座っていた。彼の白い狐裘に身を包んで。 袁術は近寄って、寝台に腰掛けた。 「まだ寒いか?」 孫策は頷いた。 「寒い」 彼らは袁耀の部屋から歩いてきた。袁氏の屋敷…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生9

「錦衣」 袁術は部屋に戻りゆっくりと歩き回った、考えながら、待っていた。 二日前孫策が寿春に戻ってきた。すぐさま謁見を求めてきた。その顔色はあっさりとしたもので受け答えも普通であった。自分の負け戦を語り、叔父に袁術に使者として遣わされ、謝り…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生8

「丹楊」 袁術はかすかにその思いを漏らすと、たちまち門客がその意を汲んで、呉越の地から美しい少女達を捜し集めてきた。 腰はほっそりと、足は霜の如く白く、袁術を数日喜ばせた。 その中の鄭という少女は、肝っ玉が大きかった。 彼女は髪が烏の濡れ羽色…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生7

「余香」 孫権は一晩寝付けずにいた。兄上が帰ってこない。空の色がまだ明るくないうちに自分で衣冠を整え、袁家のお兄ちゃんを訪ねに出かけた。 屋敷に入る前に、侍従に阻まれた。言うには、時間はまだ早く、袁耀はまだ酒が抜けず起きない。客に会うことは…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生6

「反復」 袁術は一瞬すこし意識が飛んでいたことに気づいた。 彼は考えていた。自分を抑えきれないのはいつだったろうかと。 人に仕えられて長く、自分の手でなすことに関しては疎いと思われた。 しかし、それもひどく刺激だった。 袁術はまだ自分の衣服は脱…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生5

「明珠」 呉夫人は自ら孫策の旅装の用意をしていた。その目には涙があった。 夫はすでに亡く、長男はまだ二十歳に満たない。 彼女は忍びず孫策の髪を撫でた。 「このような礼物が袁叔叔の目に留まるかわからないけれど」 孫策は彼女に伏して頭を下げた。 「…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生4

「白露」 袁術は贅沢が大好きだ。贅沢をひどく味わったし、それに、恥とも思わなかった。 どうせ彼は享受できるのだ。 彼は生まれつき錦衣玉食の公子だったし、小さい頃から褒めそやされ、仕官の道も順調で、乱世の中でも易々と食い扶持を得ることができた。…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生3

「夏至」 孫堅が亡くなり、袁術の心の中では、悲喜こもごもといったところ。 ある面では、孫堅は彼の麾下では第一の猛将で、二人で共同し、南北を征戦し、負けることなどほとんどなかった。もっとも袁紹との争いでは、よくよく袁術の威風を四方に満ちあふれ…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生2

「春分」 袁耀は孫策と矢の的当て比べをしたが、ほとんど勝ったことがなかった。 しかし、このことで言い争うこともなく、年が近いもの男の子同士一緒に遊び、とても愉しかった。 ただ、近々故郷に帰ること思い出し、袁譚と袁熙に会うと思うと、内心不快感で…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生1

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生 術策ですがワタシは基本策瑜の人です。この作品は、とても耽美で美しかったので訳そうと思いました。たぶん、Hシーン欠けたver.だと思いますが十分おいしい部分(?)は読み取れます。相変わらずヨボヨボ訳です。 「…

原作 陳某先生/作 王貽興先生/火鳳燎原外伝小説『伯符』

今回は一日一策瑜には入れられませんでした。 涙、涙。 孫策の十代から二十代晩年まで疾駆します。 幼なじみ凌操との関係。 凌家とは三代繋がりがあることになっています。(正史とは違うオリジナルですね) 自分の身替わりとなって死んでいった、さらにその死…

Cha-ngokusiさんの周瑜茶を頂きました。

https://changokushi.theshop.jp/ ↑ の有名な三国志メニューと本のお店の三国志八宝茶(周瑜公瑾)をいただきました。 ありがとうございます。 お茶はいろいろ大好きです。後ろに配合が書いてあったので、ちょっとざっくりと調べてみました。凍頂烏龍茶 ビタミ…

臨時 一日一策瑜 しちみ楼先生「美周郎がはなれない」

臨時 一日一策瑜 しちみ楼先生「美周郎がはなれない」 現在連載中 今いちばん気になる三国志、策瑜です。https://comic.pixiv.net/works/7688孫策が死ぬほどかっこいい。というか一話目で死んでいる。(T_T) ものすごく少年マンガの正統派かっこよさで死ねる…

ヨボヨボ漢語 兔兔先生『双兔記』終

伯符が気がつくと、自分が曲阿の土地神の神廟にいることがわかった。ため息をついた。 「公瑾はどこか知らないか?」 「将軍、あなたはここにいてください。それがしが周都督を探してきます」 子明は蹲り、両眼をきらきらさせて、伯符を見つめた。 「これで…

ヨボヨボ漢語 兔兔先生『双兔記』16

三人が洞の外へ出てくると、紺碧の空は洗われたかの如く透き通り、明月は高々と上っていた。 「公瑾、ちょっと法力を試してみろよ!」 伯符は公瑾の肩を叩いてみた。公瑾は天空を仰ぎ見て、玉でできたかのような清らかな顔をして、静かに月光を浴びていた。…