2021-01-01から1年間の記事一覧
「太傅」 宮殿の灯りはキラキラと輝き、装飾は一新され、盛大な宴会が開かれ、卓上には美酒佳肴が並んだ。武将が片側に座り、文臣がもう一方に座った。主座と次席が空いていた。 袁術はまだ現れず、部下達はこもごも囁き、ぺちゃくちゃとおしゃべりしていた…
「孫郎」 孫策は再び祖郎を討ち、完全勝利を収めた。祖郎本人は逃げたとは言え、長らく丹楊を騒がせていた山越の大半は平定され、呉景と孫賁は大いに安心した。袁術も大喜びした。 彼の書状が丹楊に送られ、皆の者に褒美が下され、また孫策は帰ってきて祝い…
「美酒」 侍女達は博山炉を置き、帳を引いて、室内から下がっていった。 孫策は彼の寝台に座っていた。彼の白い狐裘に身を包んで。 袁術は近寄って、寝台に腰掛けた。 「まだ寒いか?」 孫策は頷いた。 「寒い」 彼らは袁耀の部屋から歩いてきた。袁氏の屋敷…
「錦衣」 袁術は部屋に戻りゆっくりと歩き回った、考えながら、待っていた。 二日前孫策が寿春に戻ってきた。すぐさま謁見を求めてきた。その顔色はあっさりとしたもので受け答えも普通であった。自分の負け戦を語り、叔父に袁術に使者として遣わされ、謝り…
「丹楊」 袁術はかすかにその思いを漏らすと、たちまち門客がその意を汲んで、呉越の地から美しい少女達を捜し集めてきた。 腰はほっそりと、足は霜の如く白く、袁術を数日喜ばせた。 その中の鄭という少女は、肝っ玉が大きかった。 彼女は髪が烏の濡れ羽色…
「余香」 孫権は一晩寝付けずにいた。兄上が帰ってこない。空の色がまだ明るくないうちに自分で衣冠を整え、袁家のお兄ちゃんを訪ねに出かけた。 屋敷に入る前に、侍従に阻まれた。言うには、時間はまだ早く、袁耀はまだ酒が抜けず起きない。客に会うことは…
「反復」 袁術は一瞬すこし意識が飛んでいたことに気づいた。 彼は考えていた。自分を抑えきれないのはいつだったろうかと。 人に仕えられて長く、自分の手でなすことに関しては疎いと思われた。 しかし、それもひどく刺激だった。 袁術はまだ自分の衣服は脱…
「明珠」 呉夫人は自ら孫策の旅装の用意をしていた。その目には涙があった。 夫はすでに亡く、長男はまだ二十歳に満たない。 彼女は忍びず孫策の髪を撫でた。 「このような礼物が袁叔叔の目に留まるかわからないけれど」 孫策は彼女に伏して頭を下げた。 「…
「白露」 袁術は贅沢が大好きだ。贅沢をひどく味わったし、それに、恥とも思わなかった。 どうせ彼は享受できるのだ。 彼は生まれつき錦衣玉食の公子だったし、小さい頃から褒めそやされ、仕官の道も順調で、乱世の中でも易々と食い扶持を得ることができた。…
「夏至」 孫堅が亡くなり、袁術の心の中では、悲喜こもごもといったところ。 ある面では、孫堅は彼の麾下では第一の猛将で、二人で共同し、南北を征戦し、負けることなどほとんどなかった。もっとも袁紹との争いでは、よくよく袁術の威風を四方に満ちあふれ…
「春分」 袁耀は孫策と矢の的当て比べをしたが、ほとんど勝ったことがなかった。 しかし、このことで言い争うこともなく、年が近いもの男の子同士一緒に遊び、とても愉しかった。 ただ、近々故郷に帰ること思い出し、袁譚と袁熙に会うと思うと、内心不快感で…
(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生 術策ですがワタシは基本策瑜の人です。この作品は、とても耽美で美しかったので訳そうと思いました。たぶん、Hシーン欠けたver.だと思いますが十分おいしい部分(?)は読み取れます。相変わらずヨボヨボ訳です。 「…
今回は一日一策瑜には入れられませんでした。 涙、涙。 孫策の十代から二十代晩年まで疾駆します。 幼なじみ凌操との関係。 凌家とは三代繋がりがあることになっています。(正史とは違うオリジナルですね) 自分の身替わりとなって死んでいった、さらにその死…
https://changokushi.theshop.jp/ ↑ の有名な三国志メニューと本のお店の三国志八宝茶(周瑜公瑾)をいただきました。 ありがとうございます。 お茶はいろいろ大好きです。後ろに配合が書いてあったので、ちょっとざっくりと調べてみました。凍頂烏龍茶 ビタミ…
臨時 一日一策瑜 しちみ楼先生「美周郎がはなれない」 現在連載中 今いちばん気になる三国志、策瑜です。https://comic.pixiv.net/works/7688孫策が死ぬほどかっこいい。というか一話目で死んでいる。(T_T) ものすごく少年マンガの正統派かっこよさで死ねる…
伯符が気がつくと、自分が曲阿の土地神の神廟にいることがわかった。ため息をついた。 「公瑾はどこか知らないか?」 「将軍、あなたはここにいてください。それがしが周都督を探してきます」 子明は蹲り、両眼をきらきらさせて、伯符を見つめた。 「これで…
三人が洞の外へ出てくると、紺碧の空は洗われたかの如く透き通り、明月は高々と上っていた。 「公瑾、ちょっと法力を試してみろよ!」 伯符は公瑾の肩を叩いてみた。公瑾は天空を仰ぎ見て、玉でできたかのような清らかな顔をして、静かに月光を浴びていた。…
……洞内では、子明が薬湯を石の杯の中に注いでいた。 そこに青い兔が小さな洞の入り口から走り込んできた。人の形をとる。ぜいぜい喘ぎながら言う。 「子明、公瑾を連れて逃げるぞ!苦戦は免れんぞ!」 子明は伯符が誰かと争ってきたのだと理解して、質問もし…
伯符が太守府の屋敷に着くと、あいかわらず富み栄えている様子。加えて祝日で至る所に灯籠と色絹の飾りつけがしてあった。伯符は玉璧お嬢さんの部屋まで来ていた。見るとひっそりとしていた。伯符は思った。 (もう数十年は経っている。玉璧お嬢さんもここに…
洞内に灯りがつくと、二人は百年分の離れていた思いを語り出した。伯符は白兔を懐から出して子明の手の上に乗せた。子明は乗せられた小っちゃな兔を見て、 「こ、これが」 しばらく話もできなかった。それからじっくりと白兔を眺めて、思わず思いが乱れて涙…
人間達の繁華街の灯りから遙かに離れてから、伯符は後ろをついてくる影があるのに気づいた。彼は声も出さず、こっそりと観察した。だんだんふつうのものとは思われなくなった。枯れ草の坂にくると、急に振り返った。懐の兔を抑えながら、大声で呼ばわった。 …
ついに空が暗くなり、伯符は白兔を拾い上げ、ふっと息を吹き込んだ。白兔の丹田の長年溜めてきた力が蠟燭のようにじわじわと明るく燃えてきた。この小さな灯りが、一人の仙人の体の中にあれば肉眼でみることはまずできない。でも白兔は体がとても小さく、ち…
それから一瞬の間ともおもわれる時間が過ぎた。どれだけの年数が過ぎたかわからない。 これらの年月、伯符と公瑾は日夜閉じこもって修行した。毎年正月の十五日だけ洞から出てちょっと遊んだ。それも林の中で虎を追いかけ回したり、豺狼をからかったり、野雉…
左師匠は丸いゴザの上に座り伯符に語りかけた。 「周将軍はまだ人の形を得ていないが、これはかつて内臓にケガを負ったからじゃ。まず仙術を修めないと、体に悪いじゃろう。しかし、彼は生まれつき才能があり、人の形を得ていないが法力はそなたよりも上じゃ…
石の洞は長くて深かった。彼らは飛び跳ねて進む。やがて洞がだんだん広くなってくると、伯符は人の形をとり、立ち上がった。そして白兔を抱き起こした。 指をパチンと鳴らす。すると玉の柄がついた灯りを持ち上げた。洞の中を赤々と照らす。 「賢弟、ここは…
その夜玉璧は輾転として眠れなかった。服を纏って起きたり、また眠ろうかとしてみたり、再び起きてゆっくりと帯を結んでいたら、誰かが話し掛けてきた。 「申し訳ないが、お嬢さん助けてくれ!」 この声は小さくひそひそとしていた。まるで長いこと待ってい…
漢服の本を買ってみました。 いろいろ図解もあります。 字も絵もたっぷり読み応えありそうな感じです。時代もそれぞれ異なっているし。 髪型なんかは詳しく名称をつけてある。 写真付きの髪の結い方も有り、コスプレの趣味の人には有意義なのかな。着物の着…
青い衣の少年は銭塘についた。すでに月が柳の梢の先にあった。酒屋に入り慌ただしく夕食をとった。酒屋にいた人々が見ていると、その少年は懐から一匹の白兔を取り出した。兔は卓上に跳び上がり美少年と一緒に晩御飯にありついた。すこぶる不思議な光景であ…
そのころ彼らはまだ十五、六の子どもだった。一日中遊んでいた。意識して名士達と交友をしていた。でも、二人でつきあい意気投合し、非常になかよしこよしだった。それで手に手を取って江淮の間をいつも遊び回り、自然をめぐったり師友を訪ねたりした。暇な…
春節が過ぎるとすぐに元宵節だ。この時、政権は司馬氏に帰している。暗いながらにも定められた運命が有り、その司馬氏は宣帝より始まり三代は何とも賢く、何とも悪賢く、苦労して天下を奪った。思いもよらず、帝位を獲って二代目は愚か者だった。その愚か者…