結構前から、作品の存在は知っていたのですが呉ファンとしてはね…見ても楽しいか疑問だったので放置してました。
でも、先日関羽役の陸銘樹氏がお亡くなりになり、遺作となったのでこれは見なければと。陸銘樹氏は昔の三国演義の関羽役も演じていて、もはや関羽といったらこの方のイメージがしっかりと刻まれております。
NHKで放映されたときの吹き替えをなさっていた石塚運昇氏も故人となられてさみしい限りです。
主役は関羽の息子(次男)関興くんです。父親を尊敬して慕ういい息子でもありますが、頑固者の一面も。
舞台は樊城攻めからすでに呉から背後を襲われて麦城に追い込まれているところから始まります。
画面だいたい暗いです。
関羽はすでに老将といった趣。悲愴感を漂わせてます。しかし青龍偃月刀を震う姿はさすがの風格。
関興は幼い頃から関羽に武術を仕込まれている回想シーンも挟みます。
逃亡兵を処罰しようとする関興を止め、責任は自分にあるという関羽に残った三百の将兵は意気に感じて最後まで随います。
ここで呉の中年くらいの将軍とその部下のちょっと若めの将軍がでてくるのですが、誰?と思いました。
呂蒙にしては元気そうだな?とぎもんにおもってますと、
中年のほうは潘璋だとわかるのですが、
若い方がまさかの陸瑁!
あとからキャスト一覧で知った。
関羽達三百人の兵は必死に戦うのですが、潘璋に討ち取られてしまいました。
関興はがれきの中からなんとか脱出。蜀(漢とは言わない、漢王朝復興とは言ってるけど)の劉備の元へ帰ります。
劉備は泣きながら関羽の葬儀をしています。でもなぜかみんな喪服じゃなくて、常服の上に喪服を着ている略装?関興が仇を討つことを願い出ます。劉備も了承しますが、黄忠は反対、慎重論を唱えます。
で、不思議なのは、張飛出て来ないのよね…まだ生きてるだろうに。娘を劉禅に嫁に出して外戚としてウハウハなのかも?
孔明もまさかの不在の三国志!
出すとなるとそれなりの役者さんが必要だから仕方ないのか。CGやアクションには手間暇をかけている感じなので、キャストでは予算を割かなかったのかもしれません。
すぐには復讐戦にはならないと感じた関興は、官職を捨て一人で呉の情報を集めに出かけます。
街で出逢った職人が呉の砦も手がけていると知った関興は職人から情報を聞き出します。
それを劉備に知らせようとしたもののすでに自分は将軍ではなく一般人でした。代わりに劉備に情報を伝えてくれたのが、弩の名手の女戦士で、彼女も呉軍に村を襲われ、両親を殺されて蜀の兵士となっていたのでした。
劉備は黄忠を先鋒として戦うことを決めますが、斥候部隊をどうするか話し合います。黄忠は関興がワガママで何をするかわからないと反対しましたが、劉備が一番情報を知っているのは関興だと言い、復職させます。
関興、弩使いの女戦士、周倉、張苞の四人で潜入して、呉の砦の内情を探りに行きます。
アクションは結構見応えがありました。女戦士もそんなに恋愛要素はさっぱりなくて、関興と同じく復讐に燃えていました。
呉ファンとしては、潘璋が気になりましたね。そんなにゲスい部分はなくて、(ゲス成分は陸瑁…)苦労してきた様子がいろいろうかがえました。
関羽をせっかく討っても、手柄は呂蒙に取られたらしいし、潘璋は関羽の遺品の青龍偃月刀を振るって関興とやりあうのですが、
潘璋「おまえは父親の庇護の元、苦労も知らない」
関興「おまえは功名だけだ。父上は漢王朝復興のために戦っていた」
潘璋という人物の描かれ方がちょっとわかる。
ラストシーンはちょっと時間軸でどの辺りの話なのかよくわからなかったです。まだ劉備がイケイケで進軍しているのか、すでに敗走しているのか。
戦争の虚しさみたいな感じの終わり方でした。
地味かつ慈味で、いろいろと渋い映画でした。