策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 4 亮瑜啊亮瑜先生「伴君左右」

「公瑾ほんとうにわたしは無実の人なのです。わたしは一介の平民です。いささか天文地理は存じておりますが、道教の術はまったく知りません」
 諸葛亮は薄く笑い扇を揺らした。
「やはり公瑾がここにいるのはまさかわたしを引き続き脅迫して、孫将軍に蜀を取らせようとのことですか」
 周瑜は彼を見つめて、やっぱり自分が死んでも生きていても、この臥龍のことは嫌いだなと思った。ふつう他の人は幽霊を見たら、少なくともびっくりするだろうに。こやつはかえって喜んでいる風である……おそらく天下でもこやつくらいおかしいのはいないだろう。
 ましてや、自分は死んでいて、彼がいうようなことも考慮しなくてはならないのだろうか、直接こやつを殺したり、それから孫権に蜀を攻めさせたり、自分は死んでも東呉に尽くしたら、孫策だって感動感激して泣いちゃうだろう。心の内でドキリとして、唇の端を持ち上げて彼に向かって話し掛けた。
「もしそのようになったら、先生はどのようにわたしに対処されるのですかな」
「もし公瑾、あなたがわたしの命を欲するのならば、わたしはそれに甘んじましょう」
 おそれるようなふりをしているがかえって揶揄っている語調でもある。諸葛亮はあの赤壁の戦いの時、優雅で聡明で弁舌で有利な地位を占めるのが得意な同盟国の軍師なのである。
 しかし、自分はもうあの敵を討ち、帷幄の中で謀をめぐらす大都督ではないのだ。
 周瑜は俯き、自分のぼんやりとした輪郭を見て、諸葛亮の口先のうまさなどにはかまっていられなくなった。小声で囁く。
「東呉のためにこの生は尽くした……後悔はない。しかし、今先生によって魂魄がとらえられては……」
「そんなに公瑾はわたしに公瑾の転生投胎を手伝わせたいのですか。わたしは公瑾のことを思って思ってわすれられないのですよ。前世からの縁が続いているのですかな」
 諸葛亮はまた笑っている。
 なにが「縁」だ、周瑜は眉をひそめた。
「どうやらわたしが死んで、先生……どうも我々は少なからず親しくなったようですねぇ」
 あたかも腐れ縁のように、わたしが死んでもあなたに纏わり付かれる。
「しかし、わたしの心は傷ついたのですよ……わたしは天下にやっとわずか一人の知己を得たというのに、公瑾はわたしといるのを嫌がるのですから。わたしはこれは天からの恩寵だと思います。公瑾がそばにいてくれるのを」
 周瑜は眉をひそめた。諸葛亮は扇を揺らし愉快そうにしていたので、周瑜には完全に彼が傷ついているのかわからなかった。考えても顔には依然として謙虚で礼儀正しい様子だった。
「わたしが先生のそばにいるとして」
 周瑜は杯を持ち上げ唇に寄せた。また眉をしかめて、杯を降ろした。
「わたしは転生を急ぐわけではないが、長く先生のそばにいることは、必ずしも良いことではないだろう。わたしは天に憐れみを願って、転生して、なんとか伯符に会いたいものだ」
「公瑾はそのようにわたしを嫌がられるのですか」
 半分真面目な口調で話した。周瑜が茶杯を置いて眉をしかめたときも、彼は辛かった。
孔明……初めから終わりまで人と幽霊とは疎遠なものだよ」
 周瑜諸葛亮の真面目な瞳を見て、ぼそりと言った。
「わたしはきみの愛に値しない」