策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 19 亮瑜啊亮瑜先生「伴君左右」

孔明、なぜこんなことをした?」
 はからずも周瑜から口を開いた。
「そう願って、このようにしたのです」
 諸葛亮の答えはとてもまじめだった。
「なぜわたしのためにここまでする必要がある」
 周瑜は眉をひそめた。
「わたしはすでに死んで……」
「わかっています」
 言葉を遮り、ゆっくりとベッドから降りてきた。扇を揺らし窓の前に立ち、側で微笑みかけた。
「手放したくなかったのです」
 諸葛亮は背を屈めて考え込む周瑜に笑いかけた。灯籠を手に提げ周瑜の手を引いて部屋の外へ出た。
「どこに行くんだ?」
「公瑾に見せたいものがあります」
 袖から火折子(マッチのような着火材)を出して擦り、灯籠に灯りをつけた。周瑜はこんなに興奮した顔で諸葛亮が灯籠を見せてくれるので、ついに平坦な口調で聞いた。
孔明がみせたいのがこの灯籠なのか?」
「そうですよ」
 而立(三十)を越えた人は笑って頷いた。
 周瑜は彼にかまわず部屋に戻ろうかとしたところ灯籠が諸葛亮の手の中からゆらゆらと飛んでいくのを見た。灯籠がひとりでに飛んでいくとはこれは一体どんな方法が?
「これは天灯です」
 諸葛亮は驚きに満ちた目の周瑜に微笑んだ。
「これは……仙家の物か?」
「ちがいます、ちがいます。これはわたしが作ったものです」
 周瑜はゆるゆると自分の頭の上まで飛んだ灯籠を見ていた。笑いながら捧げ持つ。その灯籠はまったく影響を受けた様子もなく軽々と飛んでいく。一緒に周瑜も地面を離れた。
 諸葛亮は周瑜の子どものような笑顔を見て、ついになぐさめられ、ため息をついた。
 しかし、周瑜が灯籠と一緒に飛んでいくと叫んだ。
「公瑾!」
 周瑜は呼ばれると灯籠から手を放して飄々と諸葛亮の目の前へ降りてきた。白衣がひるがえり、仙人のようだった。
「この灯籠はどこまで飛ぶのか?」
 仙人が声をかけ、諸葛亮は、目が覚めた。
「空の彼方の上、あるいはいずこかの下でしょう」
 諸葛亮は扇を揺らし、意味ありげに周瑜を見た。
「後悔はないのか?」
 周瑜は眉をひそめた。
「後悔はありません」
 笑って答える。
「それならかまわない」
 周瑜も笑った。諸葛亮は驚いたが、それから眼を合わせて笑い合った。