策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よぼよぼ漢語 策瑜同人 nashichin先生 『蜜月』十五

比翼 中

「オレの帰りを待ってろよ」
 周瑜の頰に乱れた幾筋かの髪を耳の後ろに掻き上げ、孫策は軽く周瑜の額に口づけた。
「かわいこちゃん、週末会おうぜ」
 ごく軽いドアを閉める音がして、孫策が起きたときにはすでに目覚めていた周瑜はやっと目を見開いた。さっき口づけられた場所をさすりながら、彼はどうして目を開かない開こうとしなかったのか自分でもわからなかった。だがこっそりと孫策が口づけしてくるのを待っていたのはさらにおかしくて、「恋愛中の女の子でもあるまいし、ふん」と呟いた。
 孫策が留守で、周瑜は独り自宅で過ごすのが特別苦痛に感じた。ソファの上にダウンコートが置きっぱなしになっているのを見て、彼は早々にスーツを買いに行くことにした。
 少しは名の売れたスタイリストとして、周瑜はファッションを選び抜く有名人ですでに手慣れていた。でも、ただ孫策一人のために服を買うとなると、いつものようには決めかねるのだった――この暗紅色のジャケットと孫策は雰囲気がぴったりだ!この灰色のセーターのアクセサリーと孫策のピアスはきっと似合う!この茶色のエナメルの靴は孫策の黒のジーンズと合わないだろうか?待て待てこのリバーシブルも悪く無さそう。
 午前中出歩いて、もうすぐ行かないと仕事に間に合わないという時間になった。周瑜はついに二着の細々と違いのあるスーツを選び、二着とも買ってきた。
 夕方家に帰ると、周瑜は二着のスーツを掛けて見てみた。スーツをじっと見ながら、孫策が帰ってきて試着する様子を想像した。彼は思わず小声で呟いた。「策策、早く帰ってこいよ」
 「小瑜児~小瑜児~電話だぞ~策策哥からだぞ~」
 楽しそうに通話ボタンを押した。周瑜は何度も孫策に自分のスマートフォンにいたずらで録音するなと文句を言ったが、その実全然変える気もなかった。
「策策兄さんは疲れて死にそうだ!何件も実験が続いて、今晩は実験室で寝ることになりそうだ!」
 電話口での孫策の声からは疲れた様子が伝わってきた。だが元気いっぱいな口調は保っている。
「根を詰めるなよ、できるだけ早くやすめるものなら休めよ」
 ちょっと心配して孫策にアドバイスした。周瑜ははっきりと彼に何ごとも少しずつできることからするのがよい習慣だとはっきり言った。
「疲れちゃってもうダメだぁ、オレは早く実験を終わらせて小瑜児に会いに帰りたい!」
 甘えた声が電波から伝わってきた。周瑜は自分と離れたところで孫策がおかしな顔をしているのが見えるかのように感じた。
「そうだ、わたしは今日スーツを買ってきたんだ。二セット、どちらもきみは気に入るよ」
 目線を近くのピンとしたスーツに移す。ダブルベッドでゴロゴロする周瑜はますます孫策が早く帰ってこないかなと想った。
「アイヤー、それじゃあオレさらに頑張らないとな、週末前にきっと帰ってみせる!」
 周瑜がすでに自分にスーツをちゃんと買ったと聞いて、孫策はすぐに元気になった。
「わかった。待ってる」