策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

ヨボヨボ漢語 兔兔先生『双兔記』3

 青い衣の少年が剣を振るう勢いで、瑠璃色の袖がはためき、皆からの視線を覆った。数回刀剣の影が見えた後、あの道士は灰と煙と化して逃げおおせ後形もなくなった。
 それから、清らかな川の白い波のようで、旋律にのって心地よい声が、
「追うぞ」
と叫んだ。
 人と兔、両方ともきらきらと透明になり瑠璃色の水の波となり、澄み切って空中へと融けて消えた……。
 
 その瑠璃色の水の波が再び形をなしたのは、袁太守の屋敷の中であった。その実、青い衣の少年は姿を現す必要は無かった。太守の屋敷はすでに混乱しているところだった。袁太守の九歳の小さな娘、玉階は半年ほど床で苦しみ一時間前に突然床から跳ね起きて、庭に走って叫んだ。
「助けて!誰かわたしを殺そうとするの!」

 まず瑠璃色の影を見つけたのは、太守の十七歳の姉、玉璧であった。彼女が声を出す前に、玉階が急に頭を姉の腕にすり寄せて、満面に涙を浮かべて、涙声で訴えた。
「姉さん、彼にわたしを殺させないで……」
「彼女はきみの妹じゃない!」
 鋭く剣にも似た冬の川の如き冷たい声音。はきはきとしてまじめに言った。玉階は驚いた。青い宝剣はキラリと光ると玉階の心臓を貫いていた。 
 数滴黒い血が太守の屋敷の滑らかで美しい石畳の上に落ち、道士の原形が出現した。彼は胸を抑えゆっくりと立ち、大声でわめいた。
「兔ども暴れるのはよせ!今年には人の形になると予想して、オレはここで半年待ったのだ!周りを見てみろ!清虚観三十六真人がしかけた駆妖陣だぞ!」
 道士の話が終わらないうちに、青い瑠璃色の光りは天空に虹のような弧を描き玉璧はめまいをおこした。そして、あの妖しい道士の姿もみえず、地上には玉階の死体が横たわり、黒い血が流れ出ていた。