策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 番外編2 亮瑜啊亮瑜先生「伴君左右」

 夏の鳴き声

 夏蝉が盛んに鳴いている。机の前にに座っていた諸葛亮は扇であおぐ。しかし、始終暑いと感じる。かの人を見れば、なんともよろしく、全身に全く汗などかいておらず、ちょうど琴を弾いていてご機嫌が良い様子。
 そこで、周瑜に向かって扇を振った。自分に注意を向けさせるように。
「公瑾、おいで」
「なんだ」
 周瑜は呆然とした顔で手を止めた。だが、諸葛亮の言うとおりにはしなかった。
「公瑾、こっちにおいで、おいで」
「わたしにはわからない」
 羽扇は続けて振られていた。周瑜は琴から離れて彼のところへ近づいた。
「どうした」
 諸葛亮は顔を上げて微笑んだ。それから周瑜の腰をつかんで下ろさせた。周瑜は妨げることもなく、急に諸葛亮の懐に抱かれた。少し狼狽するように身を起こしたが、かえってぎゅっと抱きしめられた。
「いったい何を……」
「あ、この方がずっと涼しくなった」
 言おうとした言葉は途切れ、こんなヘンタイなことまで……。
「公瑾はわたしをみつめてどうしているのかな。実に耐えがたい暑さだよ」
 言いながら、周瑜のひんやりと冷たい皮膚を撫で回した。
「孔ー明ー」
 火山は爆発し、周瑜は暴れ始めた。
 今にも氷嚢はおさえきれなくなり、そこで諸葛亮は弱々しげに振る舞って見せた。
「公瑾、わたしはひどく暑くて、あなたはわたしが、なにかの病気にかかったとは思われませんか」
 周瑜は自分の胸元に置いている諸葛亮の手を握った。目を細めて憐れむような目でみた。心が揺らいで、それ以上もがいたりしなかった。諸葛亮は彼が自分を拒まないのを見て、自分の足の上に周瑜を横たわらせ、ついでに左手で彼を抱きしめた。こうすれば右手で巻物を握ることができるし、自分も涼しくなれる。
「あ、丞相。酸梅湯をお持ちしました」
 姜維は中で怪しげな音がしないことを確認してから、戸を叩いて入ってきた。
 周瑜姜維が入ってくるのを見て、顔が熱もないのに赤くなっていた。急いで諸葛亮の手を退けて身を起こそうとしたが、諸葛亮はもっときつく抱きしめて、小声で囁いた。
「公瑾がもし動いたら、伯約がきっと驚いてしまいます。前回を忘れましたか」
 周瑜は聞いて驚き、薄らと微笑んでいる若者を見た。頭の中では前回の姜維のぼーっと呆けた様子が思い起こされた。よく考えると、姜維は自分が見えないのだから、どうしてしきたりにこだわる必要があるだろうか。
 しかし、ずっと涼しさを理由に抱きしめられていて、いささかバツが悪かった。姜維が出ていく場面になるまで、周瑜は身を固くして辛抱した。
孔明の心の中には少しも羞恥というものがないのか?」 
 視線が彼よりいささか下だが、周瑜は軽べつの目を向けた。
 諸葛亮は顔を低くして彼に微笑んだ。
「伯約は公瑾が見えないのですよ。公瑾は何を緊張しているのです」
 と言って、周瑜の顔を撫でた。いつも全身冷たい人だが、この時ばかりは顔からじわりと熱さが伝わった。
 姜維は扉をぴっちりと閉めると口を大きく開けて息をし、全身から冷や汗をかいた。ちょうど折良く趙雲が見えた、走り寄っていく。
「趙、趙将軍」
 姜維は命の藁をもつかむかのようにぎゅっと趙雲の袖をつかんだ。
「どうした、また丞相に脅かされたか」  
 趙雲は様子を見て焦り始めた。
「いえ、……ちがいます」
 姜維は忙しなく顔を振りながら言った。
「それでは……」
 趙雲は突然すぎてわからず頭を掻いた。
 姜維はすぐに興奮していった。
「それで今日の丞相はとても普通なのです。だからこわゎゎゎゎゎ」