策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 五十一 需要愛先生「思為双飛燕」

二十八章 離間

 孫策が自分を陽羨に送り返すつもりだと感じてから、孫権はすぐにいろいろなことに機敏になった。幸い孫策はやらねばならないことがたくさん有りすぎて、一時孫権の様子を見ることすらできなかった。そこで、孫権は意識的に孫策から一番遠い場所に縮こまって、お兄ちゃんの怒りを買わないようにしていた。
 三日後、兵士の大部分は横江城下に至り、その晩孫策はテントの中で布陣する兵を配置していた。孫権はテントの前で静かにうろつきながら、興味深く孫策がいかに将兵を派遣するのか見ていた。軍牌を一人に一枚分けて出発させ、テントの中の諸将も命令を受けて去り、最後に孫権は忽然と発見した。この大きなテントの中には二、三の孫策のそばの護衛兵しか残っていなかった。武将たちはみな出て行き、ある一人だけがずーっと動いていない。
 孫策は護衛兵に下がるように手で示し、着換えて眠ろうとした。
「伯符将軍!」
 周瑜は声を上げた。
「一人忘れてはいませんか?」
「オレが誰を忘れると?」
 孫策はすかさず問う。態度は頗る真心がこもっていた。
 周瑜はうすく笑って彼を見つめた。
「きみの目の前に立っているこれだよ」
「あぁ、公瑾、立っているなよ。座れよ」
 孫策はにこにこ笑った。手を振って護衛兵を下がらせ、自分で服を脱ぎはじめた。
「オレがどうして公瑾を数え忘れようか。明日早朝、公瑾とオレは一緒に出発だ。オレの副将として」
 周瑜はちょっと考えた。
「しかし、昨日我々が軍議したときには、わたしは左翼の先鋒となりたいと言ったはずだ。きみも妥当だと思ったよね」
「それはな韓当が敵情探査から軍営地にまだ戻っていなかったからだ。今彼が戻って来たからには、彼が左翼の先鋒を務めるのがよかろう。さらに言うなら」
 孫策の笑顔はさらに甘い蜜のようになった。
「オレ達兄弟二人、いっしょに敵をぶっころすのが楽しくないことがあろうか、オレはおまえと離れたくないんだよ公瑾」
 周瑜は聞いてびっくりした。慌てて周りを見回し、テントの入口に孫権を発見した。孫策に余計なことは言うなと示した。テントの中にはまだ人がいると。孫策は笑った。
「権児もおまえの弟だ。オレ達身内でちょっと内緒話をしても、なんの不都合もない」
 周瑜は顔に気詰まりな表情を浮かべたので、孫策は慌てて咳払いをした。
「仲謀、おまえはどうしてまだ休みに戻らないのだ」
 ふん。孫権は内心帰るったら帰るよと思ったが、この一幕の出来事は覚えていた。
 戦の進展は十分順調だった。横江を軽々と抑え、兵士たちの歓呼がやまなかった。ただ、数回の戦争を続けて、孫権は鋭い観察力で孫策が毎回周瑜を自分の傍に置いて、敵陣を落とす突撃に加えさせなかった。周瑜はあきらかにこれに満足していなかった。
 孫権は心臓がどきどき大きく脈打った。まさかぼくの機会が巡ってきたのかな?
 一日軍営地で休養の日、孫権はそそくさと周瑜のテントに走った。ひとまずあいさつをして、孫権周瑜の机の前に襟を正して正座した。いい文句を考えながら一字一句ずつ話した。
「公瑾、あなたがもし心に傷ついていることがあったら、全部ぼくに話してよ」
 周瑜はちょっと驚いた。
「仲謀いったい何を言っているんだい?」
「ぼくが見たところ、大勝したあと、みんなとても大喜びだった。ただ公瑾だけが悶々として楽しんでいなかったから、だからこう言っているんだ」
「わたしは宴会で多く飲むのは好きじゃないだけだよ。悶々として楽しんでいないわけじゃない」
 周瑜はとても優しくほほ笑んだ。
「仲謀考えすぎだよ」
「えっ」
 孫権は前に体を傾けた。
「この話は言うべきかどうかわからないんだけれど」
「話してかまわないよ」
「じゃあ……何日か前にお兄ちゃんに聞いてみたんだ。なんで毎回の出兵のときに公瑾を先陣にさせないんだ、と。お兄ちゃんはぼくに言ったのは……」
 孫権は間を置いた。
 周瑜はちょっと驚いてから、言った。
「義兄はなんと言ったのかな?」
「お兄ちゃんが言うには、公瑾は人の中の珠玉、先陣を切って戦う人ではない。後ろの方で座っていればいい、それから……」
「まだなにか?」
「さらに生きている限り公瑾を戦争に出さないって、公瑾あなたはどう思う?」
「義兄は本当にそう言ったの?」
「絶対に間違いないよ!公瑾傷ついたでしょう?」
 えー、どうして目の前の公瑾は傷ついている様子ではない。反対に嬉々として喜んでいる?孫権は目を擦った、自分は見間違いをしたか?と。周瑜は口許に笑みを浮かべあきらかに羞じらっているのが見える。彼は何を羞じらっているのだろう?孫権はわからなかった。
 幸いにも、周瑜の表情はすぐにふつうに戻った。さらにとても親切な口調で孫権に言う。
「義兄は三軍の主帥、彼はいろんな人のいろんなことを差配しなければならない。自ずから彼に道理がある。もし義兄がわたしに先鋒の才がないと思うなら、わたしは後方の守りとなる。なんの不都合があるだろうか?」
「それは……」
 孫権はちょっとぼうっとした。
「公瑾が言っていることは道理があるけれど、そ、それは……」
「仲謀、この話はきみがわたしに話しているのかい、それとも義兄が……伝言を頼んだのかい?」
「伝言?」
 孫権は続けてぼうっとなったままだった。
「どうして伝言なんか、あなたたちは毎日毎日会っているじゃないか……」
「あるときは目の前にして言いにくいこともある、毎日毎日会う人でも、人に頼んで伝言するんだよ。そうか」
 周瑜は手を振った。
「仲謀心配要らないよ、義兄の気持ちは、わたしはわかった」
 周瑜のテントから出てきたとき、孫権は無言で蒼天に問うた。これもあれもそれもどこのどこが、公瑾彼はわかったんだよぉー。彼はなんか間違ってないか?どうして自分が小さい頃に戻ったみたいに感じるのだろう、また話を間違ったようだ!
 孫権は自分はいつもは多少聡明で才智に恵まれていると思っているが、ただひとつ周瑜に関することでは、すべて全く役に立たなくなる。この周瑜と言う人はとっても複雑すぎる、まったく鍵となる場所にたどり着けないよ?