策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よぼよぼ漢語 策瑜同人 nashichin先生 『蜜月』十二

感謝 中 

 ひねくれた孫権とは違い、孫尚香は初めて周瑜を見たときから、うちの大兄ちゃんと同じくかっこいいこのお兄ちゃんが大好きになった。彼女の心の中では、小瑜児お兄ちゃんは大兄ちゃんみたいに変なオバケの話なんてしないけど、いつも大兄ちゃんに一種表現しがたいが相当リラックスした顔をさせていた。
 なにはともあれ、孫尚香がそんなに周瑜が気に入ったのかと問われれば、彼女の答えはきっとこうだろう「大兄ちゃんが小瑜児お兄ちゃんが好き、大兄ちゃんが好きな人は香ちゃんも好きになるの!」と。あるとき周瑜を見るなり遠巻きに避けていた孫権を見て、孫尚香はいつも思っていた。
(もしニのお兄ちゃんも小瑜児兄ちゃんのことを好きになったらいいのに)
 わざとかどうかは知らないが、面白く無さそうな弟を揶揄うつもりかそれとも気分が乗ったのか、夏休みの二ヶ月間、孫策はいつも夕陽が西へ沈むころいつも表立っては不満そうだが内心は期待でいっぱいの孫権を連れて広場にサッカーをしに出かけた。この時は数本のミネラルウォーターをぶら下げて出かける周瑜はいつも孫尚香の頭を軽く撫でて彼女がお利口に水を持つのにつき合い、広場に着いてからはちっちゃな孫権が背の高いお兄ちゃんに対抗するのに助けを出していた。
 小さな子どもの気分は変わりやすい。一緒に遊んでケンカした育ってきた孫策周瑜は疑いなくこの道理を会得していた。この二ヶ月で、周瑜が何度もパスを出して孫権にシュートを決めさせた。孤立無援の孫策はコテンパンにやられた――だが周瑜が十回の絶好の機会を与えたとしても孫権がものにできたのはそのうち一つくらいしかなかった。
 のんびりと、広場の縁で座って三人のお兄ちゃんたちを見守りながらお水当番と球拾いをしていた孫尚香は思った。ひどく小瑜児お兄ちゃんのことを嫌っていたニのお兄ちゃんはだんだんと小瑜児お兄ちゃんにべったりし始めた。毎回大兄ちゃんの守るゴールを破るたび、小瑜児お兄ちゃんの反応を待たずに、両手を広げて叫んで小瑜児お兄ちゃんに抱きついた。顔にももはや嫌がる気持ちは見られず、十歳の子どものちょっとひねくれた甘えが見られた。
 毎回この頃には、思い余って怒りだした孫策が軽く孫権の尻を蹴飛ばした。
「おいおい、欲張りすぎじゃないか、大兄ちゃんの大事な人におまえみたいなガキが簡単に抱きつくな」
孫策、弟をいじめるもんじゃないよ」
 孫策の足を引っ張り、周瑜はそれ以上の魔の手から孫権が逃げ出すのを手伝った。
「そうだよ!お兄ちゃんはぼくをいじめたらだめだ!」
 小さな拳で孫策の腹を叩いた。周瑜にしがみついている孫権には恐れる物などなかった。
「アイヤー終わり終わり!」
 まったく痛くもない腹を抱えて広場に座り込み、孫策はいじけて言った。
「オレは今日ついに武松の兄の辛さを理解したぞ、やっぱり弟と言うものはみな災いだな、うーうーうー」
「武松の兄の辛さはそんなに痛いの?」
 孫策が痛そうに倒れたのを見て、孫尚香はミネラルウォーターを置いて孫策の元へかけつけた。心配そうにさっき孫権に叩かれたところを摩った。
「大兄ちゃん泣かないで、香ちゃんが大兄ちゃんのかわりにニの兄ちゃんをやっつけるわ!」
「ハハハハハ!」
 まさか孫尚香が「武松の兄の辛さ」を「権ちゃんに叩かれた痛み」だと理解するとは思わず、孫策のめちゃくちゃに文句を言おうとしていた周瑜孫策と一緒になって笑い涙まで流した。