策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

ヨボヨボ漢語 兔兔先生『双兔記』8

 石の洞は長くて深かった。彼らは飛び跳ねて進む。やがて洞がだんだん広くなってくると、伯符は人の形をとり、立ち上がった。そして白兔を抱き起こした。
 指をパチンと鳴らす。すると玉の柄がついた灯りを持ち上げた。洞の中を赤々と照らす。
「賢弟、ここは昼間我々が通ってきた洞じゃないのか!なんでだ?」
 伯符は驚いて言った。
「なぜ左師匠は我々にこんなにも大きく遠回りさせたのだ?」
「そうだね?なんでだろう?」
 白兔は石の卓に飛び上がった。まっ白できれいな石の卓は昔天柱山の洞に住んでいたときに使っていたものとそっくりだ!
 そして、昼間に彼らが三十六の道士の呪いから逃げて、休んだ山林の中にも似ている。
「わたしたちはこれからどこに住むのだろう?」
 白兔はまた伯符の懐の中にもぐり込んだ。
「わたしはわかっているよ。きみはあの妖しい道士を追いかけたいと。あいつもケガをしたとはいえ、依然として多数いるし……でも、きみの新しく創り出した剣はすごいね!」
「賢弟、今日おまえを繁華街に連れて琴を弾かせて歌っただろう。子明を探したいんだ」
 伯符は白兔を抱いて、物憂げにその毛並みを撫でた。
「おまえも言ってるとおり、オレもあの道士を引っぱり出してオレのこの剣を試したい!我ら兄弟を長年いじめてきたのも、今日ついに人の形を得てどうして我慢していられよう。やつらが早々に備えているとなると、これは大変なことになる。あ、本来なら東の市でおまえにかっこいい籠を買ってやろうとおもっていたのに。今は人の形をとれないなんて!」
「きみは今日歌っていたずらをして、法力を多くつかったよね。街の民草が全員惑わされているよ。天地の間でおこることをみな知る左師匠に知られたら、なんて言われるか!わたしは気配を探って左師匠が帰ってこないか、清虚観の呪いが強まっているか弱まっているか見てみるよ。きみはここで待っていて動かないでね!」
 言うなり白兔は伯符の懐から飛びだした。一つの白い点は跳躍し高い坂の林の密集しているところへ消えていった。

 伯符は大樹に凭れて座って、ため息をついた。

(……子明はどこかな?ここ数年いつも同じ夢を見る。夢の中で子明は広野に立っていて、あたりを見回している。周りは霧につつまれている。子明は剣を抜いて振り回している。しかし子明の剣はあたりの霧を切ることができない)
 彼はかつて賢弟に訊ねたことがある。
「子明は辛いんじゃないのか。おまえが夢解きしてみせてくれ」
 賢弟は考えながら言った。
「わたしもその夢はいつも見るよ。これは子明が我々二人を探しているんだよ。でも彼は数十年探しても見つけられず、霧に遮られて、どこにいるかわからないんだ……」
(子明よ!もしおまえがオレを探しているのなら、おまえはきっと転生しても凡人ではなく、きっと法力のある仙人だろう。あの妖しい道士すらも我々の動きにきづくのだ。おまえはどこにいる?おれは遠くではないと感じているぞ)
 考え事をしていると、遙かに遠くから白い点が跳んで戻ってきた。近くにくると白兔は全身びしょびしょに濡れていた。孫策を見ると停まってぶるぶると毛を震わせた。伯符は我慢できずに大笑いした。
「ハハハハ、賢弟、おまえの毛皮はなんで濡れているんだ?」
「きみを待たせては悪いと思って、急いでいたら、不注意にも山のあたりの小さな深い淵に落ちたんだ」
 白兔は沈んだ声で話した。伯符は抱き起こして瑠璃青の袖で拭き取った。しかし、白兔は無理やり飛びだした。大きな青い石の上に飛び乗り頭を下げて毛を舐めた。話もしない。
「周将軍が我を呼ぶからら、ワシがきてやったぞい!」
 よく知った声が雲の間からゆるゆると降りてきた。人と兔が声に反応すると、左師匠が目の前に立っていた。老仙人は考え事をしながら言った。
「将軍お二人ともワシについてきなされ!」
 彼の声についていくと、人と兔は山の峰をめぐり、見たことのない洞に進んだ。