策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

ヨボヨボ漢語 兔兔先生『双兔記』4

 春節が過ぎるとすぐに元宵節だ。

この時、政権は司馬氏に帰している。暗いながらにも定められた運命が有り、その司馬氏は宣帝より始まり三代は何とも賢く、何とも悪賢く、苦労して天下を奪った。思いもよらず、帝位を獲って二代目は愚か者だった。その愚か者は物事がわからず、一時はひたすらデタラメだった。皇帝の権威は地に落ち、諸王はあちこちで造反し、皇位は四代目で終わった。北方から胡人が侵入し、権臣が天子を擁して南方に逃げ、片隅に割拠し、君臣ともに考えもなく、ひたすらに享楽に耽り、虚しく過ごしている。

 この一日は、元宵の日で、珍しくも一大晴天で、お日さまが照り輝き、暖かな風が吹いている。すこぶる春の陽気に満ちている。青い衣の少年が山間を歩いていると、木々の間からきらびやかな金色の光が少年の若く美しい顔をかがやかせ、活き活きとして見せていた。
 ずっと急いで歩いていて、少し暑くて耐えがたくなってきた。懐の小さなものが不安げにもごもごし始めた。少年は奇妙にむず痒くなって、ついに襟を開けた。その小さなものを探り出すと、それは雪白のまるまるとしていて、とても可愛い。
「本当に暑いよ、
伯符、長すぎるよ。きみはどうして人に息を
させないつもりだよ」
「山の上は風が強いし、太陽にあたるものじゃない。冬の日だったら、すごい寒いといって、ちょっと息を吸って懐にもぐり込むくせに」
「年寄り扱いして懐につっこまないでよね。こんないい天気には閉じこもるのはおもしろくないよ。今日は上元節だよ。わたしたちも山のふもとに遊びに行こう。ねぇ?」
 少年は俯いて懐の中の雪白の小さなものをちょっと見た。なんとも言いがたくてため息をつく。
「公瑾おまえなぁ。おまえによく言ってるけど、こんなに長く人の形になれないんだから、おまえは成功を狙って焦らないのか。なんで気軽に遊べるものかな」
「兄上、これも運命があるんだよ。急がないよ。それに兄上はすでに大成功したんだし、どこにいくのにも便利だ。わたしもほどなく追いつくよ。長いこと上元節も祝ってないし、われわれも見に行こうよ」
「そうか。長いこと祝ってないな」
 少年はため息をついた。思いは自然と過去に戻った。