策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 四十五 需要愛先生「思為双飛燕」

 もともとこのお話は掲示板サイトに連載されていて、作者の需要愛先生がupすると、ファンがワイワイ感想を書く感じでした。需要愛先生の更新が遅れていたあるとき、なんと偽者が更新するという珍事が起きました。それもまた面白いので、以下訳します。

偽者版 二十三 碰撞 衝突 

 翌日の早朝、孫権は随従一行を連れて歩いて呉県の陸家の屋敷に着いた。太陽が高く照りつけ、孫権の若い顔立ちをちょっと年齢にはそぐわないように影を付けていた。

 孫権は自ら陸家の表門を叩いた。門を開けた家僕はあくびをしながら文句を言った。
「誰だよ。こんなに朝早くから……」
 門を押し開けた後、目の前にいたのは爽やかな笑顔を満面に浮かべた少年であった。名門の貴族のような豪華できらびやかな衣服ではなかったが眉間に凡人にはない雰囲気を漂わせていた。
「失礼します。公子は何のご用で?」
「富春孫仲謀。このたびお屋敷の陸議を訪ねに参りました」
 孫権は変わらず満面に笑みをたたえていて、少しの怒りの色もみせなかった。
「孫公子ややお待ちあれ、わたくしめが若様に報告して参ります」
 孫権は入り口に立ち、内心思った。呉郡の陸家は噂通り名門貴族で、見るからに高い梁に碧の瓦で、非常に立派だ。いつかお兄ちゃんとこの国を治めて、きっと極彩色に耀く宮殿を建ててお母さんと住もう!そう思いながら、思わず孫権の唇の端にちょっと得意げな微笑みが浮かんだ。
 間もなくして、陸家の家僕はまた門に戻ってきた。このとき後ろに一人多かった。孫権がちょっと目をやると、や、これはまさに昨日馬を盗んだこそ泥陸議!ぼくの馬を盗んで、少しも恥じ入る色もみせず、なんとももっともらしいことを言いそうな腹に一物がある様子!このガキめ、今日ぼく孫仲謀がきっとおまえをよくよく教育してやろう!
 孫権は話そうとして、逆に陸議に先を越され、怒鳴られた。
「この大胆な孫仲謀め!まさか今日本当にわが陸家の屋敷にのこのこやってくるとは!」
「何を恐れ入ることがある?!」
 孫権は目を細めた。顔色にはちょっとの怒りをみせなかった。
「堂々たる呉県の陸家のお坊ちゃまが、なんと馬泥棒をしていたなんてことが、もし伝わったら、きっと陸家の顔に泥を塗るね!」
「きさま――!」
 陸議は孫権の話を聞いて怒った。大声を出して吼えた。
「こいつめ、富春の孫仲謀め!おまえの兄は天性殺戮を好み、血を好み、我が従祖父陸康を死なせた、この恨みは我が陸家とおまえとでは精算していないぞ、そこにおまえから来るとはな!よし、今日わたしとおまえで決着をつけよう。従祖父の仇を討ち、陸家の恥を雪ぐぞ!」

 孫権はこの話を聞いて、怒りがついに心中にあふれかえった。憤って言う。
「よし!無知ななこどもめ。今日孫仲謀とおまえとで決着をつけよう。必ずやおまえを屈服させてやる!」
 言い終わると、数歩後ろへ退き、広々とした街のなかへ立つ、満を持して機会をうかがうように。
 陸議は勢いでは先に相手に負けたと感じた。歯ぎしりして外套を脱いで側の家僕に投げつけ、大声で叫んだ。
「誰も邪魔するなよ、わたしが陸家の仇を懲らしめるのを待て、従祖父の仇討ちだ!」