策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

よちよち漢語 十九 需要愛先生 「思為双飛燕」

 孫権は軍営の中で落ち着くと、すぐに孫堅の所へ行った。傍について、目にするもの耳にするもの皆全て孫堅軍が董卓を討伐するためのことだった。あるときは城攻めして退却、あるときはまた疲れた獣が抵抗を続けるように、ひたすら孫堅はずっと進むも退くも自在に行動していた。きわめて掌握している。
 ただ、孫権のような子どもにも彼らのこの征伐の一路は、父が云っているようなそんな簡単なものでは決してないと感じとれた。
 もっとも、軍中の兵糧や道具類は常に不足があり、孫権は何度も幕舎の中で怒っているのを見た。口をきわめて罵り、袁術が彼らの必要とする兵糧を供給しない、大軍が前に進まず停滞するはめになる。もっとひどければ、もう少しで包囲される危険もあった。
 孫権は丁寧に自分の竹簡に記録した。
袁術は信を失い、人主となるに値しない』
 普段は基本的に孫権孫堅の側につく老僕が面倒を見ていた。
 戦争がやや休みになるたびに、孫堅はやっと孫権と家族の団らんで話す時間がとれた。孫権は短い時間のうちに少なからず成長していて、自分が今回、家を離れて父親に随いやってきたのは正しかったと深く感じた。
 数ヶ月後、孫堅の軍が董卓の旧部下を攻め、完勝した。その治所の県に入り、意外にもたっぷりと糧食があるのを発見して、一時的に軍心を鼓舞できた。孫堅は喜びの余り、大軍にここで少し休養をとり、軍備を備えてから再出発をすることを命じた。
 夕方の時分、孫権は父親について、輜重の軍営を見に行った。軍営の中には数人の兵士が鹵獲した戦利品を車に載せて運んでいる所だった。
「そんなにたくさんのガラクタを持っていくな。必須となる兵糧と輜重だけもって行けばよい」
 孫堅は一まわり軍営を巡ると、ちょっとした用事を言いつけていた。
 孫権はぴったり後をついていた。顔を上げて見れば遠くもない所で、孫策が地面に蹲っているのが見えた。何をみているのかわからず、孫権は好奇心を起こし、孫策の側まで走って行った。