策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

読みました。渡邊義浩先生『人事の三国志』

うーん。最近、歳のせいかはっぱり読書のスピードが落ちてしまった。
おととし、出かけた先で買ったのに、積んでおいたのも、歳のせいだよな(T_T)
面白いのだけどなかなか進まなかった。
名士先生こと渡邊先生の本です。監修じゃないよ。ご自身の著書よ。

人事とある通り、官職にまつわる権力統制とか、いろいろ後漢、魏、呉、蜀、晋まで解説されていて興味深かった。
他の六朝の研究の先生のある本では、まだこの時代には貴族という言葉は存在しないと書かれていたんだけど、各先生で見方はわかれているのかな。

名士先生の監修本でも出てくる疑問、呂範はいつから仕えていた問題。
かぜ江でも後書きにあったと思うの。
誰か教えてプリーズ。
孫堅が生きているときに会っていたからという理由では!周瑜孫堅からの臣下になっちゃうし、なにかプロじゃなきゃとどかない情報があるのかしら??

まぁ、妄想しながら読むのには、後漢が一番面白かったです。
下っ端役人から叩きあげで出世して行くにはどうするのか。孫堅なんかが通った道はこうなのか?みたいな妄想しつつ楽しめました。
しかし、役人になるにはお金がいること、いること。中央官より地方官でワイロ貰っていたほうが実入りがよかったりしてね。
銅臭が全くしない役人なんざごくわずかですよ。
蜀は前に読んだことある感じの繰り返しだったな。劉備孔明の権力闘争、せめぎ合い。
天華的妄想だったら楽しいかも。
魏も文学と儒教の新しい価値観を曹操が持ち出したことの偉大さ。曹丕くんは一歩後戻り。曹丕くんは儒教的価値観に支えられて立太子できたから、しょうがない。
でも暴かれない墓はないし、滅ばない王朝もないとか言い切る曹丕くんは充分新しいと思うよ。
そして、続く晋も儒教的価値観を共有する貴族間の婚姻で結びついて、その結束が新しい王朝を生み出す…。
しかし、嫡長子相続という儒教的価値観故にあからさまな暗君に継がせて乱の原因ともなってしまったのだった…虚しい。

我らが、呉は志怪から(笑)
正統性をどうやって作るかが悩みどころ。
魯粛がね…もうちょっと長生きしてくれればね、周瑜もね。二人してなんとでも正統性なんぞ創造してくれたと思いますよ。
陸遜だから、まじめくんにはその辺難しい。
孫権も悩んだけれど、孫皓も悩んだ。
孫皓は暴君だけど、馬鹿ではないんだな。
系統立てて正当性を作り出したはいいものの、すでに王朝が風前の灯火だった…。
虚しい…。
陸機たちのこともかいてあって、呉出身のために苦労したことも泣ける。
呉の四姓の陸遜孫策の血の入った陸抗以降の家族は孫家、呉にたいする思い入れが違っていると感じます。

本の内容と離れるけれど、陸氏の子孫が姓を変えて生き残ったという説は信じたいよな。かわいそすぎる。

後漢の官職制度の説明が濃くて、読んでよかったなと思いました。
いろいろ、参考文献も書いてあったので、興味あるところの入口にもなっています。
オタクに優しい。