策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

更漏~普及させた委員会♡その二


廿四味凉茶先生《更漏乍長天似水》
二十一章

位牌の前のストーカーシーン
*大人の女性推奨
*飲みながら訳したので、より拙訳、誤訳激しい


廿四味凉茶先生
更漏乍長天似水 二十一章 


その日はにわかに天気が変わった。
狂風が滅茶苦茶に吹き荒れ、堂上の銀紙を一つも残さずとり去って行き、一つの扉は突如吹いた大きな風に閉められて傷を作った。バタンバタンと音をたて、孫氏祠堂を守備する侍衛は後始末に忙しかった。ここは奥まって寂しいところでふだんは人気が無かった。

その日は意外にも主公と大都督が両者揃って廊下を速足で駆けてきた。
主公の進む様は慌ただしく、風が巻き起こって二人の衣服が揺らめいた。孫権が前を行き周瑜の腕を無理やり引っ張っていた。
大堂にまだ遠い所で、孫権は命令した「退がれ」
入り口の侍衛から堂内の祈りを捧げる侍官も縮こまって、動けなかった。
孫権はまた大声で言った。
「みな退がれ!」
人々はみな首を縮めてそろそろと下がって行った。殿上は少しの間にひっそりとして誰もいなくなった。

周瑜は既に昔の孫策との濃やかな付き合いについて孫権の前で言い出すべきでは無かったと知った。
もうあなたがこの話を聞きたくないのなら、それでは話さないで済ますしかない。
今日彼は失言したことを悔やんでいた。孫権は彼の腕を離さずに来ていた。
彼は抗うことも知らずに、なすがままに孫権に付いて車に乗り、どうするのか見ていた。
殿堂内は高く広く、装飾のある柱がまっすぐに立ち、霊台の上の孫氏祖先は段々に積み重なってそびえ立ち、線香の煙がゆらゆらと流れていた。
空の色は大いに暗く、雲は流れる様に飛び去り、殿中の天上の雲が飛び去るようにも影が映しだしていて、現世にあるもののようでは無かった。
周瑜はかつて何度も主公に従って祭礼に参与してきた。
臣下としては、これは一種の栄耀であり、周郎の功績もここにいて恥じることの無い充分なものだった。
そして、彼はいつもあの彼のよく知った名前を見つめることに耐えられなかった。
彼は一向に抗うこと無く、孫権もさほど力を入れる必要も無かったが、強制的な力で周瑜を引っ張って前に進んだ。
周瑜は祠堂を見て、内心驚かずにはいられなかったが、彼と自分の賭けをした。
孫権がそんな胆力は無いと。
孫権の顔つきは凶悪に暗かった、殿内に入って彼を振り捨てると、振り返ってバタンバタンと大きな門を閉め始めた。
彼は再び戻ってくると、大股で歩きより、周瑜の身辺まで来ると彼の肩を掴み、無頓着に彼を台の前にずるずると引きずった。容赦なく周瑜の肩を抑えつけ、自分と一緒に跪くことを無理強いした。
「孫氏各位の先祖、周公瑾、この人は我が江東の幸い、また我が江東の禍です。彼と兄上とは不義の関係がありました。また今、私とも天倫に逆らうことを為しました。」
周瑜は孫氏祠堂の中で立ち、今まで他人に仰ぎ見られ、彼も亦たその事実にかなうと自覚していた。
今日孫権に斯様な侮辱を受けて、歯噛みして言った、
「こんな狂った裏切りを、先祖に対しての不敬を、あなたは彼らが聞き届けると思うのですか!」
孫権は見るからに目つきが狂気じみていた。
「私は彼らに聞かせてやりたいのだ!」
言い終わると振り向き、言った。
「然るに、公瑾は無罪です。罪は皆、私、権にあります。天罰はは我に与えよ。ただ私の目を抉ったとしても、私は周公瑾の顔を見たいと望むし、私の耳を燻べても、私の耳は周公瑾の声を聞きたい、私の腕を切り刻んでも、周公瑾の手を取ろうとする、私の心を粉々に砕いても、私はそなたを想い、恋し、愛したい!毎日そなたと愛し合いたい……」
「口を慎め!」
周瑜は彼の錯乱した言葉を聞いて、声を上げて制止した。
孫権は彼に対し冷淡に一笑に付した。意外にも立ち上がり、霊台につかまると、素早く手を伸ばし、一つの位牌を取った。
討逆将軍。
孫策
伯符。
周瑜は彼のこの挙動を見て、極めて怒り、
「孫仲謀、どこにでも神はいるのだぞ。いつの日にか孫氏祖先に何の面目があって会えるのか。」
孫権は位牌を捧げ持ち、ゆるゆると周瑜の面前に跪いた。彼の頚を抑えつけ、迫るように彼の顔を覗き込んだ。
「公瑾、怖いか?」]

高くそびえ立つ高台、慎み深く静かな衆霊、孫氏祖先は黙々と屹立していた。
周瑜はいままでこの場所には無かった、これまでに無い恐怖を感じた。
周瑜は極度に怒った、孫権孫策の位牌を冒涜したためだけでは無く、彼が内心びくびくと不安に駆られるのを感じた:賭けには負けたのだ……
孫権は片手で周瑜を抑えつけながら、孫策の位牌に言った。
「兄上、あなたがもし公瑾と愛し互いに守り合いたいのなら、来世まで待たれよ!この一生では、彼は私のものだ!」
孫権周瑜が怒りで身震いするのをちらりと見た。ひと思いに、いや全て捨てる覚悟で、また言った「彼と私は何事も全てしてしまった。兄上と彼がしたことも、私はすべてした。兄上がしなかったことも、私はした。」
このとき初めて、孫権周瑜の、目の中にはっきりとした恨みを見て取った。彼は知った。周瑜が永遠に孫権を許さないだろうことを。内心痛みと快感があり、続けて言った。
「公瑾、そなたは信じたか?そなたは信じるか兄上がずっとそなたを見ていることを?そなたは兄上に言うことは……」
周瑜はこの瞬間も力が及ばず 、果たせるかな伯符の位牌を受け取り対面していた。 一文字一文字はっきりと、
「孫伯符、よく聞け、私は死んでも後悔はしない」言い終えると位牌を置き、顔を背けて一言も言わなかった。

死んでも後悔はしないとは?
まさに孫権の手が彼の襟の中に入れられた時、周瑜はこの瞬間、この問題は扱いを間違えたと確かに感じ取れた。
孫権は自分を失って、この事はすでに自分の手の内を離れていた。
周瑜孫権の手を引き、彼が続けようとするのを止めた。
孫権は彼を床に押し倒し、周瑜の身体に乗り上げて言った。
「公瑾、兄上は何でもお見通しなのだ。もう一度しても何の妨げもあるまい?」
周瑜は彼の眼を見たが、何の迷いも見られなかった。
周瑜は言った。
「孫仲謀、あなたは私を地獄に引きずり込み、天地人倫から外れさせたいのですか?」
孫権は言った。
「いつの日か、私は天罰を受けるでしょう。輪廻することも叶わず、何度も生まれ変わっても公瑾とは相いまみえることもできない。だから、今生では、私は絶対この手を離さない。」
孫権の心の中にはただ一つの思いがあった。手を離すことはできない。今もし離したら、彼がまた勝ってしまう。
天上では轟くような雷が突然光り、大殿を照らし尽くした、明るく照らし出された静かな位牌、孫策の名前、そして彼らの互いの狂気じみた眼。
雷は続けざまに鳴り響いた。暗い雲が頭上に垂れ込めていた。
周瑜孫権に床にしっかりと縫い止められていた。抜け出すことができずに終わり、彼は深く病気の身であることを恨み、この全てを恨んだ 。
周瑜は冷笑して言った。
「孫仲謀、薬を取って来なければ」
孫権は話しをしなかった。
周瑜は言った、
「私があの薬を飲まなければ、あなたはやり通せるのか?」
「公瑾、そなたは兄上に聞かせるために話しているのか?」
一条一条雷が落ちる白光の中、孫権は顔を俯けて周瑜を見て眼の光が残忍なものへと変わった。
「そんな薬などなくても、公瑾、わかっているだろう。そなたの面子をあれこれ考えて、口から出任せに言ったに過ぎない」
孫権は恋人が指で彼の顔の輪郭をなぞるようにして「公瑾……そなたがこんなに身体が弱っているときに、私がどうして催淫剤など飲ませることができよう」
彼は周瑜の額に口づけた。
「そなたはわたしを癒す薬だ」
周瑜は大きく眼を開けて、天井を、見上げた。
その一夜は、痛みが繰り返された。
彼は全てを知っていた、しかし彼は相変わらず賭けていた。
孫権に話す気がないことを。
盆をひっくり返したような激しい雨が続いていた。