策瑜で三国志ブログ

一日一策瑜 再録しました。三国志、主に呉、孫策、周瑜について語ってます。基本妄想。小ネタを提供して策瑜創作してくれる人が増えたらいいな。

2022-01-01から1年間の記事一覧

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生26

「万全」 袁術は若いとき武芸を習っていた。四世三公の家で、子弟の教育はしっかりなされなければならない。君子の六芸は、みな習熟していなければならない。騎射の道も狩りや遊興で欠かせないひとつである。彼はそれにも十分熱心で学問だって良くやった。 …

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生25

「水精」 室内は水蒸気が充満していた。湿り気があり、暖かい。しばし立っていたが、服が皮膚に張り付き、呼吸もさらに重苦しくなった。 袁術は軽く咳払いした。 「孫校尉はついに戻ってくる気になったのかな?」 孫策は水中で身体を斜めにしていた。あるか…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生24

「白玉」 その侍者は孫策を袁術の屋敷に連れてきて、ある道を指し示した。 「校尉が長く寿春を不在にしていた間に、将軍府は尊い位に合わせて、また大きく土木工事をいたしました。もし案内するものがおりませんでしたら、途中で迷うことになるやもしれませ…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生23

「騏驥」駿馬 孫策は少し驚いた。 「なるほど彼か。太傅は……今はどうなのだ?」 孫権は目の光りがまた暗く沈んだ。 「おそらく良くないと思う」 馬日磾は袁術に無理やりに引き留められ、長年のつかえが病となっていた。冬になり、さらに一日と悪くなっている…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生22

「帰期」 孫権はこの頃酷く眠れない。他人の邪魔になるのもいやで、毎日寝台で灯りをつけ、真夜中まで読書していた。疲れて竹簡を抱いたままようやく眠ることもあった。 彼の精神は落ち着かず、今夜は本をいくらも読めなかった。木簡を寝台に広げて、一人で…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生21

「驟雨」 孫策の馬は西域の良種で、馬高が高く脚も長い。雪白のたてがみに露の珠のような光りを放ち、着地して葉を踏むときには音もなく、とても柔らかい。 彼は軽装で出かけた。馬は素速く、瞬く間に従うものたちの殆どを振り払った。遠くから見ても、人影…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生20

「盧江」 陸議は長いこと楼上に立ち続けていた。眼はぼんやりとしてちかちかとしてきた。彼はよろめき、額を城壁の女墻(凸凹)の上に近づけた。きつい陽射しから少しでも守られるように、わずかな冷たさを求めた。 痩せこけた手が彼の肩を抑えた。彼は振り向…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生19

「懐橘」 あるものが殿上にやってきて、袁術の耳元に小声で何事か囁いた。すぐに大喜びして満面笑顔になった。 「戻ったのか?」 報告した侍者が答えた。 「はい。すぐにいらっしゃいます」 陸康はその顔色を見て取り、我が子と甥と一緒に立ち上がり、袁術に…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生18

「奪節」*馬日磾の権威の印であった節(飾り房の着いた杖)を袁術が奪い、勝手に官職を決め始めた。 孫策は部屋の中で一人静かに座り、精神修養をしていた。 目の前には碁盤が置かれ、ほんのわずかな黒と白の石があり、その他は手許にあった。 時刻はもう早く…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生17

「秘議」 孫策は枕の上に伏せていた。寝台の側で水の音がした。誰かが絹布をお湯で絞り、肩から腰まで彼の背をゆっくりと拭いていた。一通り拭くと、またきれいな乾いた布で水分を拭き取っていた。 その手には薄いタコがあり、彼の背を揉んでいった。やり方…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生16

「主権」 孫策は寝台に凭れて座り、白綸子の中衣ははだけて、胸元が起伏する様が見えた。 彼の手はしっかりと帳を握り締め、手には青筋が立っていた。 袁術は寝台の足側に座り、その時を待ち、愛でていた。 彼の目線は孫策のこめかみのしたたる汗を見つめた…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生15

「夜談」 馬日磾は普通の儒学者ではない。 彼のような出身、そのような経歴、今いる立場、当然普通のものではない。 普通ではないゆえに、彼は煩瑣な儀式礼節にこだわらなかった。 使用人が言う。 「孫郎はもう休みました」 馬太傅は答える。 「知らせに行け…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生14

「金鈴」 翟とは雉のことである。 袁術の衣の上には鮮やかな雉の尾の紋様が刺繍されており、ほの暗い灯火の下でもきらきらと光っていた。 袁家は四世三公といえど、彼は一地方に割拠していても、ずっと人からは家族の恩恵でと見られることが多かった。今回の…

(術策)「有花堪折直須折」by潜規則之路先生13

「踏歌」 孫策は袁術に従い席につき、座ると俯いて何杯か酒を飲み、下がりますと告げた。 袁術はいくぶん酔っており、彼の手を取った。 「何をそんなに急ぐことがある?」 孫策は少し笑った。 「軍営を騒がせたものはすでに斬りましたが、それから処理しなけ…